浜松市南区松下様の店舗の雨漏りが直るまでの流れをご紹介します
浜松市南区にお住まいの松下様は、4年ほど前から南区遠州浜にて美容院を経営されています。
独立を機に以前も美容院として使われていた店舗建住宅を購入して使用されていました。
しかし、平成23年の台風15号の影響で建物に大きな被害が出たため、外装に大きな被害が出てしまいました。
そこで、加入されていた保険会社である農協の担当者の方に相談されたところ、大得工務店をご紹介いただいたことが出会いのきっかけです。台風通過直後は非常に多くのお問い合わせ・ご相談が集中したため、人員的にパンク状態になってしまいましたが、手分けをしてお客様のもとへ伺いました。
浜松市南区で保険を利用した台風被害の雨漏り修理-ビフォー
まず、台風による被害箇所の確認と雨漏りの一時養生をします。
これは北東の方角から建物を見た様子です。いろいろな箇所で被害を確認しましたが、特に目立った被害が黄色の○が付いている場所です。
まず、一つ目の○である瓦の破損の様子です。和型の瓦で葺かれていましたが、一番上の棟の部分がほとんどなくなってしまっていました。当然こちらからは雨がジャバジャバに入ってしまいます。
棟の瓦は北側や1階部分に風で飛ばされてしまっています。
更に、南側の平瓦も飛んでしまって屋根の下地木部がむき出しの部分がありました。防水層まで飛ばされてしまっていますから、そのままでは直に雨が入り込んでしまいます。
1階の瓦の様子です。飛んできた2階の瓦によってバリバリに割れてしまっています。こちらも雨漏りに直結しますのですぐに対応が必要です。
東面の店舗上部分の板金屋根です。風が入り込んでしまい、板金屋根部分が下地から浮いてしまいました。歩くとボコボコと音がします。
更に見ていくと、雨漏りの原因となっている部分を発見しました。店舗看板上の立ち上がり部分の「笠木」という個所で、蓋になっているステンレスの笠の継手から水が入っている気配です。
これは施工方法としては良くないですね。笠をつなぐための釘は普通、上からではなく横から打つものです。しかし、こちらの笠木は上から打っているため、釘の穴の隙間から雨が入り込んでしまいます。おまけに継手のコーキングも劣化して、継手がパックリ開いていたため雨漏りの原因となっていました。
玄関上にあるこちらの笠木の部分は、釘は横から打っているものの、継手がパックリ開いてしまっていました。そこから入った雨が構造体の中に入っており、水気を吸った外壁がブクブク膨らんでいました。
雨押さえのため、一時養生をします
被害の大きかった瓦部分などは、すぐに応急処置をしないと少しの雨でも雨漏りしてしまうため、養生シート等で適切な処置をします。
範囲の大きい部分はブルーシートをガバっと掛けて、粘着力の強い防水テープで固定します。とは言うものの、範囲が広すぎて完全には雨を防ぐことは難しいので、あくまで応急処置です・・・
平瓦が割れてしまった部分でそれほど範囲が大きくない部分は防水シートで覆ってから防水テープでガードです。瓦のひび割れは防水テープで固定しました。
この防水テープは濡れても剥がれず、粘着力がとっても強いんですよ
建物の中にも雨がドンドン入っていました
あれだけ瓦の被害が出てしまったため、家の中にも大量に雨が入ってしまっていました。瓦が飛んでいた部分の下の和室の天井は雨でシミが出来てしまい、その下にある畳は大量の雨漏りでシミだらけになってしまっていました。
お店をされている部分の壁や天井にも雨のシミが出ています。このあたりはステンレスの笠木の施工不良が原因の一つですね・・・
店舗上の笠木から雨が入り込んでいたことで、建物内部の窓枠や外側のタイル下地が腐っているようです。窓枠の木部がスカスカしており、外部のタイルはグラグラしています。タイルの裏側に手を突っ込んでみると下地の木がガサガサでした・・・
被害箇所の確認した後、修復のための見積りを作成します
細かな部分を除き、住まいの点検で以上の被害が確認できました。今回は、災害保険を利用して修理される予定となっているため、現状の様子から中の被害規模を予想し、被害箇所修復のための見積りを作らなければいけません。
工事の様子を細かくリストアップし、保険が適用できそうな被害箇所はすべて今回の台風の損害請求の見積りに含めていきます。保険を下ろしてもらえそうな部分はすべて見積りに入れるように、お客様と何度も打ち合わせをして見積りを作成しました。
浜松市南区で保険を利用した台風被害の雨漏り修理-アフター
雨漏りの原因の追求と同時に、見えない部分の被害復旧まで見込んで見積もらなければならないため、大変難しく時間のかかる作業です。被害規模が大きかったことから損害復旧の見積り項目も非常に多くなりました。
保険会社の審査の段階で若干削られた部分もありましたが、大半の修復費用を台風被害として認めてもらうことが出来、ご不安の悩みである費用面についても安心して進めていただくことができるようになりました。
まずは瓦屋根を修復します
雨漏りの一番の原因となった屋根瓦は元通り修復します。2階の屋根瓦も棟の部分がひどく損傷していましたが、元通りになりました。また、2階の瓦が落ちたことで割れてしまった1階の瓦も部分的な吹き替えにて修復完了しました。
新しい瓦は少し色が濃いですが、遠目にはあまりわからない程度だと思います。
長い間雨漏りの原因となっていた笠木の補修をします
次は、店舗看板上の立ち上がり部分の「笠木」からの雨漏り修理です。ここは施工があまり良くなかったこともあって、雨がかなり入り込んでいると予想していた部分でした。
ステンレス製の笠木を取り外したところです。継手付近の木がボロボロになっているのがわかりますか? 長い時間を掛けて、雨が降るたびに水が入り込んだ結果、木を腐らせていました
また、継手付近が特にひどいですからここからの雨漏りであると確認できます。
そこで、継手の重ねしろが足りない部分に「捨て板金」といってもう一枚同じステンレスの板金板を重ねて入れました。こうすることでそれぞれの重ねしろが大きく取れるので、雨水の侵入するリスクが格段に減ります。
ちょっと見た目が悪くなってしまうのがネックですが、雨仕舞はグッと良くなりました。
下地の関係で釘を上から打たなければいけなかったのですが、他の釘部分とあわせて上ステンレス笠木を取り付けるために笠木の上から打っていた釘の穴もコーキングでカバーしました。本当は笠木の交換がベストですが、数年後の大改装に備えてもう少しこの笠木に頑張ってもらいます。
続いて板金屋根の浮き抑え工事です
この板金屋根は「桟葺き(さんぶき)」と言う、割りと一般的に採用されている板金屋根の工法です。風が入り込んだことで、ブカブカ浮いてしまっていた部分を抑える作業をします。
骨となっている桟が。下地である合板から風で浮き上がっていたのが原因でした。そのため、桟木をカバーしている板金を一旦取り外してから長いビスで下地に留め直します。幸い、桟木の腐り等は殆ど無かったためこの作業で板金屋根の浮きは納まりました。
ただ、軒先の桟木が少し腐りかけています。軒先は、雨の勾配上水が残りやすいため、腐りやすい部分です。特に、屋根の勾配がゆるやかな場合に起こりやすいですが、桟葺きの弱点の一つとも言える部分だとおもいます。
もちろん、勾配をしっかりと取って施工していれば桟葺き自体に問題ありません。ただ、あまりにも緩い勾配の屋根は、20年とか経った時に下地の痛みや雨漏りの心配が出てくると思います。
[warning]最近新築でもゆるい屋根勾配にしている家をよく見かけますが、見た目だけにこだわっていては長持ちする家もできません。家を計画する場合はこういった部分にも気をつけて考えるほうがいいです。[/warning]
最後に玄関上の笠木の雨漏りを修復します
笠木を取ってみました。店舗上の部分ほどではありませんが、下地の木にかなりの雨漏りがあって木が傷みかけていました。なぜか、サイディングが裏表逆に施工されており、内側の外壁も手で崩れてしまうほどボロボロになっていました。
まず、新しい笠木を取り付けるために必要な箇所の下地の木を交換します。その後、防水の両面テープを敷きこんでから防水紙を張ります。
防水紙の上から、ガルバリウム鋼板製の笠木と内側の壁を制作して取り付けます。もちろん釘は横から留めます。この納まりなら水切れも良いし、耐久性の高いので長く安心して使っていただけますね
あと、金属製の箱樋が中から腐ってボロボロになっていました。サビが全体に広がっている状態で塗装をしても意味が無い状態でしたので、新しい箱樋に交換しました。この後、樋と一緒に白く塗装します。
木製窓の窓枠と木製ベンチの塗装をします
塗装が劣化してきた店舗部分の木部を塗装します。こちらの木製窓は雰囲気はかなりいいのですが、木とペンキの相性があまり良くないので数年経つとこのようにペンキが剥がれてしまいます。
お店の顔部分でもあるので、今回は木製窓の木部にペンキの塗り直し作業をさせていただくことになりました。浮いている古いペンキを綺麗に落としてから新しい塗装を重ねます。
工事完了後は以前から気になっていた店舗内の壁部分の雨漏りも止まり、安心して営業していただけるようになりました。
工事完了後頂いたご感想
今回は、雨漏りが進行しないように最低限の補修とし、数年後に店舗内外を大きく改装したいと、店舗のイメージを色々と語って下さいました。また、数年後の改装の際にも大得工務店に頼みたいとおっしゃって頂きました。
松下様、ありがとうございました!
コメントをいただけると嬉しいです